軽貨物ドライバーになろう!黒ナンバー取得に向けてやること【2025年版】

2025年4月から、黒ナンバー(営業用軽貨物車)の取得に関する制度が国土交通省により変更され、新たなルールが施行されました。これにより、「貨物軽自動車安全管理者の講習受講」と「適性診断の受診」が義務化され、これまでよりも手続きのフローが複雑になっています。
本記事では、これから個人事業主として軽貨物ドライバーを始める方に向けて、黒ナンバー取得までのステップを分かりやすく解説しています。「何から始めたらいいの?」という方も、このページを見ればスムーズに準備が進められます。
下の図では、新しく加わったルールを軸に、軽貨物ドライバーとして開業する前後に必要な手続きの流れをまとめています。全体の流れをざっくり把握したい方は、まずはこちらをチェックしてみてください。
※NEWのラベルがあるものが、今回新しく追加されたルールです。
※開業後に行うことは、記載されているもの以外にもあります。詳しくは、こちらをご覧ください。
開業のためにやること5ステップ
ステップ1. 貨物軽自動車安全管理者の講習受講
「貨物軽自動車安全管理者」とは、軽貨物運送事業者が営業所ごとに選任する“安全運行の責任者”です。個人事業主として一人で始める場合でも、自分自身がこの管理者となり、所定の講習を受ける必要があります。この講習では、安全運転の基本はもちろん、車両の点検方法や事故防止の考え方、記録の付け方など、事業者として最低限知っておくべき内容を学びます。
<受講方法>
- 国土交通省が登録した講習機関から受講する(機関一覧はこちら)
- Eラーニング形式 ※自宅や職場から受講が可能!
- 所要時間は5時間以上
<料金>
- 受講料 3,700円
<受けたあと>
- 講習修了証明書が発行され、のちに提出する「貨物軽自動車安全管理者の届出」の添付書類として運輸局に提出する。
<受講の申し込み>
- 各機関のウェブサイトから申し込み可能。必要情報は、メールアドレス、姓名、生年月日、所属事業者に係る情報、連絡先電話番号など。
ステップ2. 適性診断の受診
画像参照元:国際自動車グループ
適性診断とは、自分の運転に関する特性や傾向を把握するための心理テストのようなものです。これは、運転に必要な注意力や判断力、ストレスへの反応などを可視化することで、自分の運転における注意点を理解し、事故のリスクを下げるために行われます。診断結果は自分自身で受け止め、日々の安全運転に活かすことが求められます。
<受講方法>
- 国土交通省が出している適性診断認定機関一覧から受講する
- 最寄りの診断会場で受講する ※Eラーニングはありません。
- 初めて受講する場合は「初任診断」を受講する
- 所要時間は2時間弱
<料金>
- 受講料 4,800円
<受けたあと>
- 診断結果と記録は、貨物軽自動車運転者等台帳に添付して保存が必要。
<受講の申し込み>
- 各機関のウェブサイトやメールにて申し込み可能。予約日時や診断項目、メールアドレス、姓名、生年月日、会社名などの基本情報を入力して予約。
- 基本は乗務前に受診する。やむを得ない場合、乗務開始後1ヶ月以内に受診する(詳しくはこちら)
ステップ3. 各書類を記入する
これから初めて軽貨物ドライバーとして起業される方は、以下すべての書類が必要になります。
- 個人事業の開業届出書
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 事業用自動車等連絡書
- 運賃料金設定届出書
- 貨物軽自動車安全管理者の届出書
個人事業の開業届出書
個人事業主として軽貨物ドライバーをはじめる場合、税務署に「開業届」を提出します。事業を開始してから1ヶ月以内に提出することが法律で義務付けられています。
書類ダウンロードはこちら:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/05.pdf
記入する情報:
①税務署長・提出日 | ・現在住んでいる住所を管轄する税務署名を記入 ・届出書を提出する日付を記入 |
②納税地 | ・住所地にレ点を入れ、住所を記入 |
③上記以外の住所地・事業所地等 | ・住所地以外で事業をする場合は、事業所地を記入 |
④氏名・生年月日 | ・個人事業主本人の氏名と生年月日を記入 |
⑤個人番号 | ・個人事業主本人のマイナンバー12桁を記入 |
⑥職業 | ・軽貨物ドライバーに関連する「軽貨物運送業」や「貨物運送業」などの職業名を記入 |
⑦屋号 | ・空欄でも問題ない ・決まっている場合は記入 |
⑧届出の区分・所得の種類・開業、開業日 | ・届出の区分は「開業」にレ点を入れる ・所得の種類は「事業(農業)所得」にレ点を入れる ・届出書の提出日もしくは仕事開始日を記入 |
⑨開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 | ・「青色申告承認申請書」又は「青色申告の取りやめ届出書」の「有」にレ点を入れる ・消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」の「無」にレ点を入れる |
⑩事業の概要 | ・軽貨物運送業の仕事をわかりやすく具体的に記入 |
貨物軽自動車運送事業経営届出書
軽貨物運送事業を始めることを国に届け出るための基本書類です。開業者の氏名・住所、使用する車両の情報などを記載します。これを提出することで、正式に黒ナンバー(事業用登録)の申請が可能になります。
書類ダウンロードはこちら:
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000010.html
書き方はこちらで解説しています。
事業用自動車等連絡書
車両の登録内容を運輸支局から陸運局に通知するための書類です。提出後、この書類をもとに黒ナンバーの交付が行われます。車検証と合わせて記載内容に間違いがないよう注意が必要です。
書類ダウンロードはこちら:
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/date/sikyoku_hp/pdf_common_riku/renrakusyo_2.pdf
運賃料金設定届出書
荷物の運賃や料金を届け出るための書類です。最低限の様式でOKですが、事業者が自ら設定した料金体系を国に報告する義務があります。料金の根拠を明示する必要はなく、自由に設定可能です。
書類ダウンロードはこちら:
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/s_ibaraki/date/kk_unchin.pdf
料金の設定方法が分からない、または自分で運賃を定めて運営しない場合は、国土交通省が定めた運賃料金をそのまま記載しても問題ありません。以下のPDFを参考に記入してみてください:
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/s_chiba/date/202101/kk_example_210101.pdf
貨物軽自動車安全管理者の届出
「安全管理者としてこの人を選任しました」ということを届け出るための書類です。個人事業主の場合、自分自身が管理者となるのが基本です。講習の受講後に届出書を提出し、運輸支局等に提出する必要があります。
書類ダウンロードはこちら:
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001768380.xlsx
ステップ4. 運輸支局に向かい、書類を提出する
必要書類が揃ったら、運輸支局に提出しに行きます。③で用意した書類に加え、車検証のコピーも用意して提出しに行ってください。
最寄りの運輸支局の場所は、以下から調べてみてください。
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/list/index.html
ステップ5. 軽自動車検査協会に向かい、黒ナンバーを貰う
軽自動車検査協会に行き、黒ナンバーを受け取ります。黄色ナンバーと車検証原本を忘れずに持って行ってください。また、ナンバー交付には1,600円の手数料がかかります。
必要な書類の説明はこちらをご覧ください:
https://www.keikenkyo.or.jp/procedures/change_number.html#link02
2025年4月以降の黒ナンバー申請は、以下の情報も参考にして行ってください。
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補足情報:講習内容や提出書類の書き方、注意点
「貨物軽自動車安全管理者講習」の内容や注意点
貨物軽自動車安全管理者とは、軽貨物運送事業者が自らの事業所における“安全運行の責任者”として選任するものです。個人事業主であっても、自分自身が管理者となり、指定の講習を受講する必要があります。
講習では、日常点検の方法や事故防止の考え方、安全教育の基本、運行記録の管理、安全に関する法令知識など、ドライバーとして知っておくべき内容をEラーニング形式で学びます。自宅などで受講できるため、比較的柔軟に受けられるのが特徴です。
受講のタイミングについては、軽貨物運送事業を開始(=黒ナンバーを取得)する前に受けておく必要があります。受講後には「修了証」が発行され、この修了証は「貨物軽自動車安全管理者の届出」に添付しなければなりません。またこの講習は、2年に一度更新が必要となります。
「適性診断」の内容や注意点
適性診断では、自分の運転特性や心理傾向を把握するためのテストを受けます。内容は、注意力、判断力、性格傾向、ストレスへの反応などを測るもので、ペーパーテストやパソコンを使った形式で行われます。所要時間はおおむね1時間〜1時間半程度です。
診断結果は後日返却され、自分の運転にどのような癖や注意点があるかを把握する参考になります。受診前に特別な準備は不要ですが、運転免許証などの本人確認書類が必要です。黒ナンバー取得に必要なプロセスの一つなので、他の書類や講習とあわせてスケジュールに余裕を持って受けるようにしましょう。
各書類の書き方と注意点
<貨物軽自動車運送事業経営届出書>
▼書き方動画をご覧ください
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