軽貨物(黒ナンバー)ドライバーが加入するべき保険とは?必要な理由と安く抑える方法
近年、専業もしくは副業として軽貨物ドライバーをはじめる方が増えています。軽貨物ドライバーは軽自動車を用いて荷物の運送を行う仕事であり、専業の場合は個人事業主として企業から業務委託を受けて荷物を運ぶのが一般的です。
比較的簡単にはじめられる仕事ですが、軽貨物ドライバーとして働くためには保険に入らなければなりません。
この記事では、軽貨物(黒ナンバー)の基礎知識をはじめ、軽貨物ドライバーが加入するべき保険や任意保険の必要性などについて詳しく解説します。
軽貨物(黒ナンバー)の基礎知識
軽貨物ドライバーとして運送事業を営むためには、黒ナンバーが付いた軽自動車を用意しなければなりません。黒ナンバーとは、軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)を行う車両に付けられるナンバープレートであり、黒地に黄色い文字が書かれていることが特徴です。軽貨物運送事業や黒ナンバーは、軽貨物ドライバーを目指すうえで重要な要素となるため、基本知識を身に付けておくことが大切です。
ここでは、軽貨物運送事業の定義や黒ナンバーの取得要件などを紹介します。
軽貨物運送業(貨物軽自動車運送事業)とは
『貨物自動車運送事業法』によると、軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)は、「他人の需要に応じて有償で、自動車(三輪以上の軽自動車および二輪に自動車に限る)を使用して貨物を運送する事業」と定義されています。あくまで軽自動車が対象であり、中型トラックや大型トラック、自動二輪車などを用いて運送業を営む場合は「一般貨物自動車運送業(緑ナンバー)」に分類されます。
これまで軽貨物運送業で使用できる車両は軽貨物車(4ナンバー)に限定されていましたが、2022年10月からは軽乗用車(5ナンバー)でも黒ナンバーの取得が可能になりました。
黒ナンバーの取得要件
軽貨物ドライバーとして働くためには、黒ナンバーの取得が欠かせません。黒ナンバーの取得要件は以下の通りです。
- 軽貨物車を1台以上保有している
- 営業所・休憩施設・車庫を保有している
- 運送約款を用意している
- 運行管理などの管理体制を整備している
- 損害賠償能力を有している
黒ナンバーを取得するためには、軽貨物車(4ナンバー)いわゆる「軽バン」や「軽トラ」と呼ばれる車両を1台以上保有していなければなりません。
車両以外にも、営業所・休憩所・車庫も確保する必要があります。営業車や休憩所は自己所有である必要はなく、賃貸物件でも対応可能です。
また、軽貨物ドライバーは運送する荷物に一定の責任があることから、荷主との契約上のルールを記載した運送約款の用意や、運転手の安全を確保するための適切な管理体制も条件として設定されています。軽貨物運送業は自動車で移動しながら荷物を運ぶ性質上、事故やトラブルのリスクもあるため、保険への加入(損害賠償能力の確保)は絶対条件です。
黒ナンバーを取得するメリット
黒ナンバーを取得することで、税金面でのメリットがあります。通常の軽自動車(黄色ナンバー)の車両の場合、重量税は6,600円、自動車税は5,000円かかります。
しかし、黒ナンバーであれば重量税は5,200円、自動車税は3,800円となっており、黄色ナンバーに比べると約3,000円ほど安くなっています。また、黒ナンバーは比較的短期間で取得できるため、独立・開業するのに時間がかからないこともメリットといえるでしょう。
軽貨物ドライバーが加入すべき3つの保険
軽貨物ドライバーとして働くなら、保険への加入(損害賠償能力の確保)が必要です。ここでは、軽貨物ドライバーが加入するべき3つの保険を紹介します。
自賠責保険
自賠責保険とは、法律ですべてのドライバーに加入が義務付けられている保険です。「強制保険」とも呼ばれており、自動車事故による被害者の救済を目的としています。補償範囲は対人事故の賠償損害のみであり、被害者の身体への損害だけが補償されます。自賠責保険の補償額は以下の通りです。
- 死亡:上限3,000万円
- 後遺障害:上限3,000万円(常時介護が必要となる場合は上限4,000万円)
- 傷害:上限120万円
対人事故による損害額が上記の上限額を超えた場合は、すべて自己責任となります。
任意保険
任意保険とは任意で加入する保険を指しており、賠償責任保険や傷害保険、車両保険など、ニーズに合わせて補償範囲が選べることが特徴です。任意保険には、主に以下のような種類があります。
- 車両保険:衝突や盗難、災害などにより車両に生じた損害を補償する保険
- 人身傷害保険:事故により自分や搭乗者にケガがあった場合に治療費や働けない間の収入を補償する保険
- 対人賠償保険:事故で人にケガをさせたり死亡させたりした際、自賠責保険で支払われる限度額を超える損害賠償額を補償する保険
- 対物賠償保険:事故で相手の車や家、電柱やガードレールなどに損害を与え、相手方から損害賠償請求を受けた場合に補償する保険
- 無保険車障害保険:事故で相手方の損害賠償に対する支払い能力が不十分な場合に、搭乗者のケガや死亡に対して保険金が支払われる保険
業務委託で軽貨物ドライバーをする場合、任意保険への加入が契約条件として設定されているケースが多いため、加入は必須と考えて良いでしょう。自賠責保険だけでは補償範囲が狭かったり補償額が少なかったりなど、どうしても心許ない部分が多くあります。不足している補償を任意保険でカバーするイメージで、補償内容を選定すると安心して業務を遂行できます。
貨物保険
貨物保険とは、業務中に何らかのトラブルによって貨物が破損した際に補償する保険です。貨物保険では、交通事故だけではなく仮置き中の盗難や荷降ろし時・積み込み時の貨物の損害、衝突による貨物の散乱・破損など、さまざまなトラブルに対応できます。任意保険と同様に加入は義務付けられていませんが、幅広いエリアに移動したり多種多様な荷物を運んだりする軽貨物運送業ではいつ何があるか分かりません。軽貨物ドライバーなら加入しておくことをおすすめします。
軽貨物ドライバーに任意保険が必要な理由
ここでは、軽貨物ドライバーに任意保険が必要な理由を4つ紹介します。
自家用車と比べて事故のリスクが高い
自家用車と比べて黒ナンバーの車両は走行距離が長いことから、相対的に事故を起こしたり事故に巻き込まれたりするリスクが高いです。運転する時間が長くなればなるほど、ドライバーの集中力は切れやすくなります。
また、走行距離に応じて適切な点検を受けなかった場合は、予期せぬタイミングで故障することも考えられます。万が一事故を起こして他者にケガをさせたり荷物を破損させたりなどした場合は、多額の損害賠償を請求される可能性があります。任意保険に加入して、いざという時に備えておくことが大切です。
黒ナンバーの取得には損害賠償に対する支払い能力が必要
黒ナンバーを取得するためには、損害賠償に対する支払い能力を有している必要があります。運送業では、馴染みがないエリアに配達に行ったり狭い道を通らなければいけなかったりなど、イレギュラーが発生するケースも少なくありません。対人事故を起こしたり不注意で荷物を破損させたりなどして損害賠償を請求された場合は、自力で支払うことは難しいため、任意保険に加入しておくことが重要です。
自賠責保険だけでは補償が不十分
自賠責保険の補償範囲は対人事故のみであり、補償額も最大で3,000万円しかありません。3,000万円補償されれば十分と考える方もいますが、万が一事故で他者を死亡させてしまった場合は、3,000万円では済みません。運送業で発生する事故のなかには自賠責保険でカバーできないケースが多いため、任意保険に加入して備えておく必要があります。
任意保険に加入していないと登録できないケースがある
運送業務を委託している企業のなかには、任意保険に加入していることが契約・登録の条件となっていることが多いです。軽貨物ドライバーは、業務中に何らかの事故やトラブルに巻き込まれるリスクが一般人より高く、何かあった際の損害賠償額も高額になる傾向にあります。歩合制が一般的な軽貨物運送業では、仕事がもらえなければ収入は得られないため、任意保険に加入しておくことは非常に重要です。
軽貨物の任意保険の特徴
軽貨物の任意保険は、一般的な任意保険と異なる点が多いです。ここでは、軽貨物の任意保険の特徴を5つ紹介します。
一般車より保険料が高い
軽貨物車向けの任意保険は、一般的な自家用車向けの任意保険より高いです。料金は2〜3倍高くなる傾向にあり、月々の支払いが1万円を超えることも珍しくありません。自家用車と比べて運転する時間が長い軽貨物車は、その分事故のリスクが高くなるため、保険料も高く設定されます。
取り扱っている保険会社が少ない
自家用車向けの任意保険はあらゆる保険会社で取扱いがありますが、軽貨物向けの任意保険は数が少ないのが現状です。軽貨物向けの任意保険を取り扱っているのは主に以下の保険会社です。
- 三井住友海上
- 東京海上日動
- あいおいニッセイ
- 損保ジャパン日本興亜
- 楽天損害保険
- AIG損害保険
取り扱っている保険会社が限られているため、選ぶ手間が少ないのはメリットです。しかし、選択肢が少ない分保険料のバリエーションも少ないため、毎月の保険料の節約がしづらい可能性があります。
自家用車の保険が引き継げない場合がある
自家用車向けの任意保険であれば、車を乗り換えた際に契約が引き継がれるケースが多いです。しかし、軽貨物の場合は自家用車で加入していた保険の契約を引き継ぐということは基本的にできません。これから黒ナンバーを取得する場合は、新たに事業用の保険に加入することになるため、現在加入している保険の内容を事前に把握しておきましょう。
事業者向けの特約が用意されている場合がある
軽貨物向けの保険を取り扱う保険会社のなかには、事業者向けの特約を用意している場合があります。たとえば、業務中に荷物を破損させた時の補償や、何らかの事故で損害賠償責任を負った場合の補償など、さまざまです。自家用車向けの保険と異なり、軽貨物向けの保険は補償内容のカスタマイズの幅が広い傾向にあるため、自分のニーズに合わせて補償範囲や補償額を調整できます。
年齢条件の設定ができない
自家用車向けの保険では、「26歳以上補償」や「30歳以上補償」など、年齢条件を設定して保険料を安くできます。しかし、軽貨物向けの保険では年齢条件の設定ができない場合がほとんどであり、ドライバーの年齢による保険料の割引が利用できません。年齢条件の設定はできませんが、他の特約で保険料を安くできる可能性はあるため、任意保険を検討する際に確認してみましょう。
軽貨物の任意保険の相場
軽貨物向けの任意保険は、自家用車向けの任意保険より2〜3倍ほど高い場合がほとんどです。6等級の自家用軽自動車に、対人・対物補償と弁護士特約を付けた場合は、年間約6万円の保険料になります。一方で、同じ条件で軽貨物車の任意保険を契約した場合は、年間15万円を超えます。軽貨物向けの任意保険は、等級が上がるにつれて保険料は安くなっていきますが、自家用車向けの任意保険と同等の金額になることはないといえます。
保険料を安く抑える方法
残念ながら個人契約で保険料を安くすることは難しいですが、複数車両の同時契約であれば保険料を抑える手段があります。ここでは、保険料を安く抑える方法を2つ紹介します。
フリート契約
フリート契約とは、自動車の保有台数が10台を超える場合に利用できる契約であり、保険会社によっては70%以上割引になるケースもあります。契約する車両の名義はすべて契約者になっていることが条件ですが、利用することができれば年間の保険料を大きく抑えることが可能です。
ミニフリート契約
ミニフリート契約とは、自動車の保有台数が2台以上の場合に利用できる契約であり、台数に応じて保険料の割引率が変化することが特徴です。少ない台数から利用できるため、個人もしくは少人数で軽貨物運送業をする方に向いています。ミニフリート契約を行う際は、それぞれの自動車の保険開始日を同じにしなければならないため、事前に確認・準備しておくことが大切です。
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