2024年問題で荷主企業が受ける影響とは？起こり得るリスクと今後の対策を紹介

2024年を迎えた今、物流コストの上昇や委託条件の厳正化など、荷主企業はさまざまな問題に直面する可能性があります。

これらの問題は「2024年問題」と呼ばれており、物流・運送業界をはじめ、荷主企業から一般消費者にまで影響が及ぶことが予想されます。2024年問題を適切に対策していくためには、2024年問題の具体的な内容を知っておくことが大切です。

この記事では、2024年問題の概要をはじめ、物流・運送業界の現状課題や荷主企業にもたらす影響、2024年問題に向けた対策などについて詳しく解説します。

そもそも2024年問題とは？

2024年問題とは、働き方改革関連法により2024年4月から自動車運転業務の時間外労働時間に年960時間の上限規制が適用されることで生じる諸問題のことです。この規制により、トラックドライバーの労働時間が短縮され、物流業界全体に大きな影響を与えると予想されています。

荷主企業や一般消費者にも影響が及ぶ可能性があり、物流コストの上昇や配送遅延などが起こる恐れがあります。この問題は物流業界だけではなく、日本の経済活動全体に影響を与える重要な課題です。

働き方改革関連法の概要

働き方改革関連法は2018年に成立した労働基準法などの改正法案で、長時間労働の是正や多様な働き方の実現が目的です。

主な内容は、時間外労働の上限規制や有給休暇の確実な取得、同一労働同一賃金の導入などがあります。特に時間外労働の上限規制は原則として月45時間・年360時間とし、特別な場合でも年720時間を超えないよう定められています。

ただし、自動車運転業務などの特例業種については、2024年3月まで猶予期間が設けられ、その後年960時間の上限が適用されることになりました。

この法改正は、労働者の健康確保と生産性向上の両立を目指す重要な取り組みとして位置づけられています。

働き方改革関連法が制定された背景

働き方改革関連法が制定された背景には、日本の労働環境における深刻な問題がありました。長時間労働による過労死や健康被害、低い労働生産性や少子高齢化に伴う労働力不足などが社会問題化しています。

特に物流業界ではドライバーの長時間労働や低賃金が常態化し、若手の人材確保が困難な状態です。

また、EC市場の急成長による物流需要の増加も、ドライバーの労働環境をさらに悪化させる要因となっています。

これらの問題を解決し、持続可能な労働環境を実現するために、政府は働き方改革を重要政策として位置づけ、関連法の制定に至りました。この法改正は、労働者の健康と生活の質の向上、そして日本経済の活性化を目指す取り組みとして期待されています。

働き方改革関連法の主な改正ポイント

働き方改革関連法の主な改正ポイントは、以下の3つです。

第一に、時間外労働の上限規制が導入され、原則として月45時間・年360時間、特別な場合でも年720時間を超えないよう定められました。

第二に、有給休暇の確実な取得を促進するため、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、5日の有給休暇の取得を企業に義務付けました。

第三に、同一労働同一賃金の原則が導入され、正規・非正規雇用労働者間の不合理な待遇差の解消が求められるようになりました。

これらの改正は、労働者の健康確保、ワークライフバランスの実現、そして公正な待遇の確保を目指すものであり、日本の労働環境を大きく変える重要な取り組みとなっています。

物流・運送業界の現状課題

物流・運送業界は2024年問題を迎えるにあたり、いくつかの深刻な課題に直面しています。これらの課題は、業界全体の持続可能性や効率性に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、物流・運送業界の現状課題を紹介します。

長時間労働の常態化

長時間労働は物流・運送業界の深刻な課題の一つです。厚生労働省の統計によると、トラックドライバーの超過実労働時間数は、全産業平均の3倍以上に達しています。

この背景には、荷待ち時間や荷役時間の長さ、渋滞などの交通状況による予定外の労働時間延長があります。

また、多くのドライバーが歩合給制度で働いているため、長時間労働が収入増加につながる構造も一因です。この状況はドライバーの健康被害や事故リスクの増加、さらには若手人材の定着率低下にもつながっており、業界全体の持続可能性を脅かしています。

慢性的な人員不足

物流・運送業界では、慢性的な人員不足が問題となっています。公益社団法人鉄道貨物協会の調査によると、2025年には約20万8000人、2028年には27万8000人のドライバー不足が予測されており、今後は人員不足が深刻化する可能性が高いです。

人員不足は残業の増加や配送の遅延、さらには輸送能力の低下につながり、物流業界全体の機能を脅かしています。

2024年問題を乗り越えるためには、人材確保と定着率向上が必須条件です。

ドライバーの高齢化

物流・運送業界では、ドライバーの高齢化が深刻な問題となっています。道路貨物運送業の年齢構成は全産業平均と比較して若年層の割合が低く、高齢層の割合が高いです。

この傾向が続くと近い将来「荷物が運べない」状況に陥る可能性があります。高齢化の進行は安全面でのリスク増加や労働生産性の低下につながる恐れもあり、熟練ドライバーの大量退職により、技術やノウハウの継承が困難になる可能性も懸念されています。

業界の持続可能性を確保するためには、若手人材の確保と育成が急務といえるでしょう。

荷物量の増加

物流・運送業界ではEC市場の拡大により、宅配便の取扱個数が年々増加しているという課題にも直面しています。国土交通省の報告によると、2020年の宅配便個数は48億3647万個で、5年前と比べて約11億個も増加しました。

さらに、翌日配送や時間指定配送などのサービス向上への需要も高まっていることも、ドライバーの労働負担を増大させ、人手不足や長時間労働の問題をさらに深刻化させています。

2024年問題を前に、効率的な配送システムの構築や新技術の導入など、抜本的な対策が必要です。

2024年問題が荷主企業にもたらす影響

ここでは、2024年問題が荷主企業にもたらす影響を紹介します。

運賃の上昇

2024年問題により、トラックドライバーの労働時間が制限されることで運送会社はドライバーの労働力不足に直面します。この結果、運べる荷物の量が減少すると同時に運送会社の収益も減少するため、運賃の値上げが避けられません。

運賃の上昇は荷主企業にとっても大きな負担となり、商品の価格設定やサービスの見直しを余儀なくされる可能性があります。

業務委託条件の厳正化

労働時間の上限規制によって運送会社は効率的な運行が求められており、荷主企業との業務委託条件が厳格化されることが予想されます。

具体的には、契約条件の見直しや荷待ち時間の短縮、荷役作業の効率化を行い、ドライバーの負担を軽減するような取り組みが求められています。

今後も同じ量もしくはそれ以上の荷物を扱うのであれば、荷主企業は運送会社との協力体制を強化して業務プロセスの改善を図る必要があるといえるでしょう。

輸送距離の制限

時間外労働の制限によってトラックドライバーの1日の走行距離が短縮されるため、長距離輸送が難しくなります。これにより、荷主企業は輸送距離の制限を受けて物流網の再構築を迫られることになります。

今後長距離輸送が必要な場合には、中継輸送やモーダルシフト（鉄道や船舶を利用した輸送）などの対策を導入して対応する必要があるでしょう。

荷主勧告制度による罰則

荷主勧告制度とは、トラック運送事業者の労働時間や車両制限令違反が荷主の指示によるものであると認められた場合に、国土交通大臣が荷主に対して再発防止のための措置を勧告する制度です。

勧告を受けた場合は荷主名と事案の概要が公表されるため、企業の信用に大きな影響を及ぼす可能性があります。荷主企業は法令遵守を徹底し、適切な取引条件を設定することが求められます。

以上のように、2024年問題は荷主企業に多大な影響を及ぼす可能性が非常に高いです。企業の競争力を維持していくためには、適切な対策を講じて物流の安定性を確保することが重要になります。

荷主企業が2024年問題に向けてこれからできる対策

2024年問題は荷主企業に多大な影響を及ぼす可能性がありますが、これからできる対策もあります。ここでは、荷主企業が2024年問題に向けてこれからできる対策を紹介します。

ITツールの活用で業務効率化

ITツールの活用は、2024年問題への対策として非常に効果的です。ITツールがあれば、配車状況の確認やドライバーの勤怠管理、在庫管理など、配送に関わるさまざまな業務の効率化が図れます。

主要なITツールは以下の通りです。

• 配車システム：最適なルート設定や車両の効率的な運用が可能。輸送効率の向上につながる
• 倉庫管理システム：在庫管理や出荷作業の効率化を図り、ドライバーの待機時間を削減できる
• EDI（電子データ交換）システム：発注から納品までのプロセスをデジタル化し、業務の迅速化と正確性を向上させる

荷主企業が利用できるITツールは数多くあるため、ニーズや課題を考慮し、自社に合ったものを選ぶことが大切です。

ドライバーの待機時間を減らす

ドライバーの待機時間削減は、2024年問題対策の要となります。ドライバー不足が懸念されている上に労働時間が限定されるため、ドライバーが時間を効率的に使い、スムーズに移動できるよう荷主企業が協力することが重要です。

たとえば、荷積み・荷卸し作業の効率化を図ることで待機時間を削減することができます。パレット化やユニットロード化を進め、作業時間を短縮しましょう。

次に、トラック予約受付システムの導入も効果的です。これにより、到着時間の分散化や作業の平準化が図れるため、待機時間を大幅に削減することが期待できます。

共同運送を活用

同業他社や異業種企業と協力し、配送ルートや配送頻度を最適化することで輸送効率を大幅に向上させることができます。特に、小口配送や長距離輸送においてメリットが大きく、共同配送センターを活用すれば、在庫の集約化と配送の効率化を同時に実現できます。

ただし、共同運送の実施には参加企業間の調整や情報共有が不可欠です。信頼関係の構築と綿密な計画立案により、持続可能な共同運送体制を確立し、2024年問題に備えることができるでしょう。

倉庫拠点の導入

倉庫拠点の導入は、2024年問題への有効な対策の一つです。特に、サブデポやVMI（Vendor Managed Inventory）センターの設置が注目されており、これらの拠点を戦略的に配置することで長距離輸送を分割し、ドライバーの労働時間を削減できます。

具体的には、工場や主要倉庫から遠隔地にある納品先の近くに小規模な倉庫を設けることで、最終配送の効率化が図れます。また、VMIセンターを活用することで在庫管理の最適化と配送頻度の調整が可能になり、物流全体の効率化につながるでしょう。

個人ドライバーの活用

個人ドライバーの活用は、2024年問題への新たな対応策として注目されています。フリーランスやギグワーカーの軽貨物ドライバーを活用することで、繁忙期の人員不足に柔軟に対応できます。

また、個人ドライバーは時間の融通が利きやすいため、深夜や早朝の配送など、従来のドライバーでは対応が難しかった時間帯の輸送にも対応可能です。さらに、地域に密着した個人ドライバーを活用することで、きめ細かな配送サービスの提供も期待できます。

ただし、個人ドライバーの活用には、適切な管理体制の構築や品質の均一化が課題となります。これらの課題に対応しつつ、個人ドライバーを戦略的に活用することで、2024年問題による影響を軽減し、柔軟な物流体制を構築できるでしょう。

配送の人員不足を解消するならララムーブがおすすめ！

配送の人員不足を解消するなら、アジア最大級の配送マッチングサービスを提供する『ララムーブ』がおすすめです。ララムーブは軽貨物運送を専門としており、必要なときにすぐに付近のドライバーを手配することが可能です。

ここでは、ララムーブのサービスの特徴を紹介します。「人員不足で悩んでいる」「2024年問題に向けて対策したい」と考えている荷主企業の方は、ぜひ参考にしてください。

すぐに空き車両とドライバーが見つかる

ララムーブの最大の強みは、配送依頼から数分以内にドライバーとマッチングできる点です。従来の運送会社への依頼と異なり、電話やメールでのやり取りは必要なく、アプリ上で配送内容を入力するだけで、すぐに近くの空いているドライバーに通知が届きます。

ドライバー不足が加速し依頼を受けられない運送会社が出てくる中、アプリを通して多くのドライバーに一斉依頼をすれば、配達の遅延リスクを避けることができ、ビジネスチャンスを逃すことなく顧客満足度の向上につながります。

足りない配送を柔軟に埋められる

ララムーブは、荷主企業の既存の配送体制を補完する柔軟なソリューションとしても活用できます。24時間365日いつでも予約することができ、深夜や早朝、休日でも必要になったタイミングですぐにドライバーを手配することが可能です。

繁忙期や突発的な注文増加時など、自社の配送能力では対応しきれない場合に必要な分だけララムーブを利用することで配送力不足を効率的に解消できます。

荷主企業は、固定費を抑えながら配送能力を柔軟に拡張できるため、2024年問題による人員不足の影響を最小限に抑えることができます。

契約や固定費なしではじめられる

ララムーブは、契約や固定費なしではじめられる点も大きな魅力の一つです。

運送業者に荷物の配送を依頼する場合は、契約を結ばなければなりません。年間もしくは月間での契約になるため、柔軟なスポット対応が難しいです。閑散期の利用が少ない場合でも、契約している状態であれば一定の料金を支払わなければならないため、無駄なコストが発生します。

一方で、自社配送をする場合は、人件費や車両維持費をすべて自社で賄う必要があり、運用コストが上がっている現在は固定費の負担が大きいです。固定費は配送が少ない閑散期でも発生するため、多くのコストが無駄になっています。

ララムーブであれば契約や固定費なしではじめられるため、2024年問題による影響を最小限に抑え、持続可能な物流体制が構築できるでしょう。

運送会社やほかのマッチングサービスよりも安い

ララムーブの料金体系は、距離と車両タイプに基づく料金体系となっています。従来の運送会社と比較して中間マージンや固定費が削減されるため、多くの場面でコスト削減が可能です。

また、他のマッチングサービスよりも優しい料金設定であるため、はじめての人も試しやすいサービスです。

※各社の料金は、2024年8月時点の情報です。ララムーブの最新料金はこちらをご参照ください。

ララムーブでは他にも荷主企業の配送業務を円滑化する多様なサービスをご用意していますので、気になった方はぜひご相談ください。

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